13時間目

「いまと未来のAI学」

-なにができて、どこまでいくの??-

オンデマンド講座(フルバージョン)
 
40分版

  • 講師:木村隆夫 先生(木村情報技術株式会社 代表取締役)
  • 日時:2020年9月27日(日)

講座レポート

13時間目の講座テーマは、私たちの暮らしや仕事に大きな影響を与えるであろう「AI(人工知能)」です。講師にお迎えしたのは、木村情報技術株式会社(佐賀市)の木村隆夫さん。製薬会社でMRとして勤務した経験を生かして、製薬業界に向けた「Web講演会ライブ配信サービス」を確立し、現在はAIビジネスも展開するIT企業の社長さんです。本来なら今年3月に開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大のため延期となり、今回のオンライン開催となりました。 

講座の様子は、YouTubeチャンネルでライブ配信し、同時にビデオ会議ツール「Zoom」を使用。Zoomの参加者は、事前に申し込んでいた17名の学生の皆さんで、オンライン上の“特等席”から視聴しました。気になることがあればチャットを使って質問や意見を随時送信し、ファシリテーターの古瀬学さんが質問を選んで木村さんに投げかけるというスタイルです。

ところで、皆さんはAIにどんなイメージをお持ちでしょうか。小説や映画の世界のように、AIに指令するとなんでもしてくれるようなイメージではありませんか。そもそもAIとはどんなものなのか…。前半では、AIの現状やおさえておきたいキーワードなど、基本的なことを分かりやすく解説。まさに、「むずかしいことは分からないけど、AIのことをもっと知りたい!」という方に興味津々の内容です。

すでに世界で活用されているAIの事例を聞くと、想像以上の進化のスピードに感嘆しますが「人間の仕事がAIにとって代わられるかも…」という不安もよぎります。「AIは効率のいいコンピューター。それを活用することで、より効率の良い仕事が成り立っていくと考えた方がいい」と木村さん。AIは万能ではなく、得意・不得意があります。例えば、過去の事例から未来を予測することは得意ですが、ひらめきや直感で物事を判断することはできません。AIを活用するには正しい認識を身につける必要があるのです。

後半は、Zoomで参加の皆さんのコメントを取り入れながらディスカッションを進めていきます。今から30年前といえば、公衆電話とポケベルが最盛期だった時代。この30年で環境は大きく変わりましたが、10年後にはもっと驚くような変化があるはず。「これから10年の進化するスピードを認識して動かないと、グローバル社会の中で取り残されてしまいます。すでに日本の企業がそうなりつつある」と危機感を募らせる発言も。

このコメントを受けて、参加者から「AI関連に携わろうと思ったら、日本より海外の方がいいの?」という質問が。木村さんの答えは、「どの段階の仕事に携わりたいかが重要」とのこと。研究者として人工知能を作りたいなら海外という選択肢もあるけれど、人工知能を使って新しいビジネスを創りだすなら佐賀でもできます。大切なのは発想力と行動力。「私たちは、佐賀にいながら海外の最新論文を読んで、新しいビジネスモデルを考えます。佐賀にいながらでも最先端のAIサービスを提供できるので、ぜひ一緒に佐賀県を盛り上げていきましょう」と木村さん。

ビジネスを成功させる考え方として興味深かったのが、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの話。ブルーオーシャンとは、まだ誰も開拓していない、競争相手のいない市場のことで、レッドオーシャンとは競争相手が多く、激しい価格競争が行われる市場のこと。つまり、ブルーオーシャンであれば、価格決定権を持てるので、十分な利益を上げることができます。「ブルーオーシャンを生み出すことは佐賀でもできる。常に世の中にないもの、二番煎じにならないものを考え出すのが我が社のモットーです」と木村さん。

AIによって世の中がどう変わっていくのか。そのヒントがたくさん散りばめられ木村さんの話に、多くの若者たちが画面の向こうで瞳をキラキラさせていたはず。最後は「だいでん、佐賀ん地から世界に羽ばたいてほしか~!」と、恒例の佐賀弁でのメッセージもいただきました。

ライブ配信後、木村さんに感想を伺うと「(Zoomでの参加は)中学生から大学生まで若い方ばかりだからこそ、いいことばかりではなく、危惧すべき現状も含めていろんな話をさせてもらいました」とのこと。AIが私たちの暮らしにもたらす可能性は無限大。大きな変革の時代に生きているからこそ、未来は大きなチャンスにあふれていると実感できる貴重な時間となりました。

告知動画

 

講師プロフィール

1962年東京生まれ。 山之内製薬にてMRとして勤務しながら、講演会のコーディネートなどに携わる。2005年に木村情報技術を設立。製薬業界向け「Web講演会ライブ配信サービス」を確立。人工知能IBM Watsonのビジネス活用事業に積極的に取り組み、多くの企業との間で新しいシステムを構築。2017年、IBM Choice Awardを受賞。