講師:画家 池田 学 先生
日時:2017年10月9日(月・祝)
会場:佐賀城本丸歴史館 外御書院
ついに10月9日(月・祝)、「弘道館2」が開校!記念すべき1時間目の講座の会場は、佐賀のシンボル「佐賀城本丸歴史館」。授業の前に開校式が開かれ、八賢人おもてなし隊が受講生たちをにぎやかにお出迎え。山口祥義 県知事が「藩校しようぜ!」と受講生にかけ声をかけ、太鼓の音とともに開校宣言が行われました。
そして熱気に包まれた会場に多久市が生んだ世界的なアーティスト、画家の池田学さんが登場!自然豊かな故郷で育った子ども時代を振り返り、「自然から作品のインスピレーションが湧く」という池田さん。泥んこまみれになりながら、虫や魚を探すために木の穴や、川のしげみをしょっちゅうのぞき込んでいたそうで、創造の原点はなんと「のぞくこと」。「のぞいた先にどんな想像のタネが潜んでいるかわからない。身近なモノに想像を膨らませていくのが、楽しいんです」とニッコリ。今回の講座のテーマは「想像力」。午後からはいよいよ自分が拾ってきた石に、想像を加えて絵を描くワークショップ!
「見たままの形にとらわれず、実際に手にとって触れて、いろんな角度から見て、その感触から想像力を膨らませて」と池田さんからアドバイス。模様のある石、苔むした石、ひび割れた石…受講生たちは、目の前の石に集中して取っ組み合い、技術面も含め、3時間のワークショップでは池田さんが一人ひとりに丁寧にレクチャー。会場は鉛筆の滑る音だけが響き、受講生たちの集中力のすごいこと!
ワークショップ終了後には、それぞれが描いた石の絵を並べ、円になり発表。「自分が小さくなって石が崖に見えた」「石に宇宙を感じた」「石が人間の顔に見えてきた」。みんなの想像力が会場いっぱいに広がり、発表する受講生の姿は堂々たるもの。
描きやすそうな石を選んだという小城高校1年の山下楓さんは「形を上手く描こうとすると何も想像が浮かばなくて。でも握りしめてみたら冷たくて、そこからイメージが膨らんで行った」。絵は水の中を泳ぐ石。「発想を変えると全然見えてくるものが違う。ワクワクしました!」と瞳がキラキラ。
「予想以上に完成度の高い作品が集まってビックリ。今日はみんな、普段は全然意識しない石ころから教えてもらったことが多いんじゃないかな」と感心する池田さんの言葉にみんな興奮気味。講座はネット中継され、視聴者からの質問にオンラインで池田さんが答える場面もあり、会場は大いに盛り上がりました。
最後に池田さんから、佐賀弁で受講生たちにメッセージ。
「これから人生いろんな分岐点がいっぱいあっさ。迷ったら難しい方にいったがよか。若いんだから、失敗しても次がある。どーんといけばよかよ。」
温かく力強い先輩の言葉に、受講生たちも瞳を輝かせていました。
1973年佐賀県多久市生まれ。98年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。卒業制作にて紙に丸ペンを使用した独自の細密技法を確立。2000年同大学院修士課程を修了。2011年より文化庁芸術家在外研修員としてカナダ、バンクーバーに滞在。2013年よりアメリカ、ウィスコンシン州マディソンにあるChazen美術館の招聘を受け、滞在制作を行う。圧倒的な細密さと共に、ユニークな感性と創造力溢れる作風で国内外を問わず高い評価を得ている。
2014年公益信託タカシマヤ文化基金・第25回(平成26年度)タカシマヤ美術賞受賞。
2017年「池田学展 The Pen—凝縮の宇宙」佐賀県立美術館、金沢21世紀美術館(7月9日まで)、日本橋髙島屋(9月27日−10月9日)を巡回。
ミヅマアートギャラリーでの7年ぶりの個展「誕生」も開催される。(7月26日-9月9日)
<興亡史>2006
高橋コレクション
撮影:宮島径
©IKEDA Manabu
Courtesy Mizuma Art Gallery
<予兆>2008
株式会社サステイナブル・インベスター蔵
撮影:久家靖秀
©IKEDA Manabu
Courtesy Mizuma Art Gallery