いまから遡ること約180年。佐賀藩第10代藩主、鍋島直正は、厳しい財政事情にも関わらず、藩校「弘道館」の拡充を決定しました。それは、教育の重要性を理解し、佐賀藩の未来を見すえてのことでした。
その英断が、後の日本を変えます。島義勇、佐野常民、副島種臣、大木喬任、江藤新平、大隈重信など、激動の時代の中で近代日本の礎となった多くの偉人たちが、その拡充された弘道館で学んでいたのです。弘道館出身者は交渉力に優れていた、岩倉具視が息子をわざわざ京都から弘道館に留学させた、などの面白いエピソードもたくさん残っています。
私はこの歴史を知った時、 “がばい”(佐賀弁で、すごく、とてもの意味)感動し、共感しました。なぜなら、私も知事になって以来、佐賀県は「人」が主役の県だとの思いで、県政を行ってきたからです。これまでの佐賀を支えてきたのも、これからの佐賀を支えていくのも「人」ですから。
弘道館が、自学自習をモットーとして、どのようなユニークな教育をしていたかについては、このHPの別ページに譲りますが、その精神と方法を引き継ぎ、21世紀らしい形でバージョンアップすれば、未来が見通せない現代においてもきっと有効である。そう考え、弘道館2を立ち上げることとしました。折しも佐賀県は、明治維新150周年を控えていますが、過去を振り返ると同時に、未来にも投資したい。そう思ったのです。
県内各地を回っていると残念なことに、若者から「佐賀にはなんもなか。」「佐賀におるけんしょうがなか。」といった声を耳にします。
私はこの気持ちを、変えたい。佐賀県にルーツを持ちつつ、県外で過ごした時間の長い私には、佐賀の素晴らしさが分かります。出身者一つとっても素晴らしい。様々な分野で大活躍している先輩がたくさんおられます。弘道館2では、このような佐賀ゆかりの先輩たちを中心に、21世紀に必要な講座やワークショップをたくさん行ってもらいます。
若いみなさんには、どんどん刺激を受け、好きなことを見つけ、夢を育み、才能を伸ばし、可能性を広げる、きっかけを掴んでもらいたい。そうすれば、佐賀の未来の7賢人、70賢人、700賢人が、ここ弘道館2から生まれ、「佐賀に生まれて良かった。」「佐賀に生まれたからこそ。」このような声が、聞こえてくる。そんな未来を夢見て。ここに弘道館2の設立を宣言します。
さあ、みんな、一緒に
藩校しようぜ。
学館頭人 (佐賀県知事)