満開の桜に彩られ、「肥前さが幕末維新博覧会」も大いに盛り上がりを見せていた3月末の日曜日、5時間目の講座が行われました。講師は明治維新150年を迎えた春にふさわしい、佐賀県知事 山口祥義先生。高校生から大学生、社会人まで23人の受講生たちが佐賀県庁の元知事室等である「県庁CLASS」に集いました。
講座のテーマは「会読」。かつての弘道館ではディスカッション付きの読書会「会読」がさかんに行われ、そこには鍋島藩のお殿様・鍋島直正公も参加していたのです。また、直正公は“無礼講”をルールに、「佐賀城」で若者らと活発に議論。その場はどんな意見を言ってもおとがめなし!のちに“議論なら肥前”と全国の各藩から注目を浴びるように。その礎を築いであろう「会読」を21世紀バージョンとして復活させよう!という山口知事の熱い思いから、歴史的な1日が実現しました。
「みんな、好き勝手に話し合おう!」と山口知事の声掛けで始まった2部構成の講座。Part1の教科書は、佐賀県出身の漫画家・原泰久さんによる漫画「キングダム」。初めて読んだという人も、漫画のファンだという人も、読んだ感想を自由に語り合い、ディスカッションもだんだん自由でリラックスした雰囲気に変わっていきました。
その後、受講生たちは県庁新館にある新しい来賓室を見学。焼き物や組子細工、家具に手すき和紙…人間国宝の作品も飾られた、佐賀の伝統技術による宝が詰まった空間に受講生たちも興奮を隠せない様子。佐賀県の取組が載ったボードなども熱心に読み込んでいました。
さてPart2の教科書はなんと知事手製。「教科書というより問題提起書ですね」と知事が言うように、現在の佐賀の状況、今後の課題がふんだんにちりばめられていました。中でも盛り上がったテーマは「佐賀は都市的価値、地域的価値、どちらを重視していくべきか」。年々、観光客が増加している佐賀ですが、東京など県外の人からは高く魅力を評価されているのに、県内の人の関心が薄く、そのズレをどう埋めるか悩んでいるという山口知事。そのリアルな悩みに受講生たちも本音トークで応え、会場もヒートアップ!
「佐賀の自然や伝統工芸品などは、あることが当たり前なので改めて魅力を発信しようとは思わない」、「当たり前ということを見直す必要があるのではないか」、「都市化はせずに、もっとバスの本数を増やして福岡・天神と佐賀の行き来がしやすいようにすれば」、「焼き物など渋いモノが多いので、もっと若者がとっつきやすいよう、見せ方を変えていけば」…。地元愛であふれた意見に山口知事も感激と驚きの表情が止まりません。
講座の締めには知事が「葉隠」の教えにも触れながら熱いトークを展開、受講生たちも話に引き込まれていきました。自然環境を守り、街づくりを行いたいという夢を持つ、武雄高校2年の星山真慶さんは、「知事のエネルギーに触れて、授業中ワクワクが止まらなかった。将来自分たちの力で佐賀を盛り上げていこうという気持ちが固まった」と瞳がキラキラ。
お決まりの佐賀弁メッセージは、「やるかやらんか迷ったら、トライすっことが大事。海に飛び込めば、新しい世界が見えてくる。守っとったらなんも見えん。やらんかった後悔はずっと残っけん、思い切ってダイブせんばよ!」。
大いに盛り上がったディスカッションに、佐賀の明るい未来が感じられた熱い5時間目となりました!