特別講座9

「みんなが知らないアフリカ学」

-テレビも教科書も伝えない、本当のこと-

オンデマンド講座(フルバージョン)
 
40分版

  • 講師:株式会社川口スチール工業 川口信弘先生
  • 日時:2021年8月9日(月・祝)
  • 会場:SAGAサンライズパーク総合体育館

講座レポート

今回は、子どもたちの夏休みにあわせて開かれた小学生向けの特別講座「みんなが知らないアフリカ学」です。アフリカといえば日本からとても遠く、広大な草原にゾウやライオンがいる自然豊かな国…というメージではありませんか?講師の川口信弘さんは、佐賀を飛び出して、アフリカで電化事業を展開する社長さんで、自分の経験を通してリアルなアフリカの魅力を教えてくれます。参加したのは、小学4年から6年まで69人の子どもたち。一体どんなアフリカと出合うことができるでしょうか。

突然ですが、アフリカには国がいくつあるか知っていますか?答えは54ヶ国!そのうち14ヶ国を川口さんは訪問しています。弘道館2では講師の方を”先生”と呼びますが、今回は特別に「川口隊長!」と呼んでいます。それは、アフリカの電気が通ってない地域に太陽光パネルを設置し、電気が使えるようにしている川口さんのことを、みんなが親しみをこめて川口隊長と呼んでいるからです。

川口隊長のお話は、子どもたちばかりでなく、付き添いできていた保護者の皆さんや会場スタッフまでも、「へ~そうなんだ!」と思わずうなるようなエピソードばかり。たとえば、子どもの頃から見慣れた世界地図。実は国際機関で使われる世界地図は違っていて、それで見ると日本は端っこに位置しています。「アフリカは遠い国ではない。アフリカは地球の真ん中です。つまり世界の視点で見たら、アフリカが遠いんじゃなくて日本が遠い国なんです」と川口隊長。

ユニークな発想だったのが、九州とアフリカの地図を見比べると形がとても似ているので、アフリカの国の名前を九州の地名で覚えてみよう!というもの。たとえばケニアは宮崎県の延岡で、ベナンが佐賀の川副という感じ。それだけでなんだかアフリカを身近に感じます。アフリカの観光や食文化、産業などさまざまな話のなかで、一番衝撃的だったのが世界規模で人口減少が進むなか、今から30年後には世界の4人に1人がアフリカ人になるということ。「そうなる時代がきます。ここポイントです覚えておいてください」と力強く話す川口隊長。

今や小学校の子どもたちでも知っているSDGs(持続可能な開発目標)。17の目標のうち、川口隊長がアフリカで取り組んでいるのは、目標4の「質の高い教育をみんなに」と、目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」。アフリカでは、小学生ぐらいの子どもを学校に通わせず、農作業を手伝わせる家庭が少なくありません。電気の普及率が低い地域は少年兵が多く、街灯がない地域は犯罪が多いという現実もあります。「貧困も衛生問題も教育で解決できる」と考える川口隊長は、子どもたちが学校に来ることで、学校の屋根の太陽光パネルで充電した電気(LEDランタン)を自宅に持って帰る仕組みをつくりました。子どもたちに教育を受けさせながら、未電化地域に灯りを届けるという素晴らしいアイデアです。

後半には、ベナン、ブルキナファソ、エチオピア、ジンバブエ出身の4人の留学生が登場し、よりリアルなアフリカの話を聞かせてくれました。アフリカの子どもたちが一日をどのように過ごし、どんな遊びをして、どんな将来の夢を持っているか。参加した子どもたちも興味津々で、留学生の話を聞いたあとは「アフリカはどんな食べ物が美味しいの?」「日本に来て困ったことは?」など質問も飛び出しました。さらに、会場がアフリカとリアルタイムでつながるという嬉しい演出も!川口隊長の会社がベナンにあり、そこで働くジェラさんが登場し、現地からリポートしてくれました。

最後は、恒例の佐賀弁でのメッセージ。子どもたちが40歳ぐらいになったとき、“4人に1人がアフリカ人になる”ということを踏まえ、「アフリカ人のことを理解しとかんと、地球をよくしていくことはできん。20歳ぐらいになったら、アフリカば旅行してみらんね」と川口隊長。小学4年生の藤田秀真くん(唐津市在住)は、「自由研究で自然エネルギーについて調べているので参加しました。お話が面白くてたくさん学べたし、アフリカの未来のことも知れてよかったです」と元気いっぱいに感想を話してくれました。

無事講演を終えて、「いつも(大人向け)とは違って、子どもたちに分かりやすく伝えることや佐賀弁が難しかった(笑)。大学生にはすぐに就職しなくてもいい、とよく言っている。社会で何が起きているか、何が問題なのかを知ってから、問題解決をビジネスにしていくことも一つの道だと思っている」と川口隊長。今回の講座をきっかけに、一人でも多くの子どもたちがアフリカに興味を持ち、佐賀から世界を見るきっかけに、アフリカから世界を知るきっかけになることを期待しています。まさに、「アフリカは若いうちに行け!」ですね。

 

講師プロフィール

川口さん

1965年佐賀県生まれ。
昭和5年創業の屋根の設計施工会社、株式会社川口スチール工業3代目として社長に就任。
その後、会社を発展させて軽量の太陽光パネルを設計し特殊架台の特許を取得。国内の再生可能エネルギーの普及とアフリカ等の発展途上国の地方の電化を進めている。昨年この活動を飛躍させるために一般社団法人GOOD ON ROOFSを設立し専務理事を務める。またこのビジネルモデルが高く評価され2019「九州未来アワード」2020「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD」でグランプリを受賞。佐賀から世界を変えていく企業として脚光を浴びている。