24時間目

「生き方自体が映画!学」

-佐賀から世界へ、夢を追うと何が起こるか-

オンデマンド講座(40分版)
 
  • 講師:上戸 恵美 先生
  • 日時:2025年12月20日(土)
  • 会場:シアターシエマ

講座レポート

24時間目のテーマは、「生き方自体が映画!学」。講師にお迎えしたのは、この講座のためにカナダのバンクーバーから帰国してくれた上戸恵美さん。海外の映画業界で活躍し、第76回エミー賞で史上最多18部門を受賞し話題になった「SHOGUN 将軍」にも、監督付現場通訳&役者として参加されています。そんな上戸さんのお話しが直接聞きたい!と参加してくれたのは、「映画が好き」、「エンタメに興味がある」、「海外で仕事がしたい」など、いろんな夢をもつ中学生から社会人までの参加者。会場となった映画館(シアターシエマ)は、観覧者席まで満席で“開演”を待つワクワク感でいっぱいです。

まずは、上戸さんの映画みたいな人生のお話から。太良町の漁師の家に三姉妹の次女として生まれ、自由奔放で頑固で気が強く、自分の思い通りにならないと泣いてしまうような子どもだったそう。「興味があったのは、お父さんがレンタルショップから借りてくる洋画。海外の映画やドラマがすごく好きで、よく見ていました」。海外への憧れから、英語を話せるようになりたいと、英語コースのある高校に進学。高校3年生のときに念願の海外留学をかなえますが、なんと行き先はインド。「自分で行き先を選べない交換留学だったので…。英語圏じゃなかったので最初は悲しかったですね」と上戸さん。

英語がほとんどしゃべれないうえに、現地で話すのはインド英語。コミュニケーションもうまくとれず、なんとホストファミリーの家から追い出されるという緊急事態に!「3カ月ごとにホストファミリーが替わっていたんですが、3つめの家から“出て行ってほしい”って言われて…。すごく辛くて泣きました」。同じ留学生だったブラジル人の友人のホストファミリーが救ってくれたそうで、「素晴らしい家族で、その後は楽しくて楽しくてしょうがなかった」と上戸さん。生まれてはじめての海外は、自分が小さな世界で生きてきたことに気づく、最初のターニングポイントになりました。

約1年の留学から佐賀に戻って直面したのが、卒業後の進路について。海外留学を見据えた進路を考えていたものの、進路指導で進められたのは4年制大学へのとりあえずの進学。悩んだ上戸さんが相談したのは、高校2年生時に担任だったモリケイ先生(通称)でした。「海外留学いいじゃないですか!いい選択の一つで上戸さんらしい」と応援してもらい、その言葉がずっと心に残っていたといいます。実は、そのモリケイ先生が観覧席に!卒業以来の再会で、モリケイ先生にも懐かしいエピソードを語っていただきました。

上戸さんは、希望通り英語の専門学校に進学したものの、経済的な理由から卒業後の留学を断念し、海外で働くことを決意。就職先は、なんとアメリカのディズニー関連の施設。販売クルーとしての採用でしたが、この経験が上戸さんの価値観を大きく変えました。「学生の頃からエンタメの仕事に興味はありましたが、佐賀にいる私がそんなことを言うなんて笑われるだけだと思っていました」、「ディズニーで働いていると、見た目も、体型も、人種も色々な人たちがエンターテイナーとしてパレードやショーに出ている。決して特別じゃなく、私みたいに普通の人間もやっていいんだと分かって、アメリカで演技をやりたいと思いました」。まさに、その後の人生につながる大きな転機でした。

その後は、演劇を学ぶためロサンゼルスに留学して演技を学び、ワーキングホリデーをきっかけにカナダ・バンクーバーに移住して俳優活動をスタートさせるなど、積極的に行動していきます。もちろん、うまくいくことばかりではありません。活動資金を稼ぐために日本に戻って働いたことも、俳優の仕事が得られずに食べる物にも困ったことも。もしかすると、困難なこと、辛いことの方が多かったかもしれません。なかでも上戸さんにとって一番辛かったのは、エンタメに興味を抱くきっかけになったお父様が亡くなられたこと。今の活躍を見せることはできませんでしたが、亡くなった後から大きな仕事が決まり出したそうで、きっと誰よりも近くで上戸さんを応援してくれているはずです。

「起こることには、すべて意味があると思っています。私の人生は葛藤の連続で、何かをやろうと思ったら問題が起きて、大変だったり辛かったりするけれど、最後にはどんでん返しでハッピーエンドにつながっている。落ち込むような出来事があっても、その経験が必ず生かされるタイミングが来ると思えるようになりました」と上戸さん。人生は計画通りにはいかないもの。だからこそ、困難や失敗の経験が人生の宝物になるのです。約1時間のお話はあっという間で、まさに1本の映画を観ているような感覚でした。

後半は、夢を語り合う時間です。リアルタイムに意見を収集できるツール(Slido)を活用して、みんなの夢を共有。上戸さんは「もし、今夢がなくても、何かやりたいな、気になることがあるというだけでいい。私自身、海外に興味があるという漠然とした理由が始まりでした。しっかり目標を持っている人が偉いというわけじゃないですから」とアドバイス。

受講生の皆さんの夢は、

  • 3.11の6日後に生まれた。災害支援や災害救助、医療に関する仕事、人を助けることができる仕事がしたい。
  • 日本で1番のミュージカル女優になる!そして大学卒業後の2030年に新・帝国劇場で主役をやる。朝ドラに出演する。
  • 会話劇をやりたい!ラストカットをバチバチにキメた映画を撮りたい。

など十人十色で、応援する気持ちをこめてお互いに「いいね」ボタンを押し合いました。その中から気になる夢をいくつかピックアップ。会場の全員が見守るなか、夢への想いを熱く語ってもらい、上戸さんにはそれぞれの背中を押すアドバイスを送ってもらいました。

さあ、最後は恒例の佐賀弁でのメッセージです。
「自分の人生は自分が主役やけんね。周りに反対されても、自分のやりたいことばしてよかけん。もし、だい(誰)も賛成してくんしゃらんやったら、自分が賛成して、自分でGOサインば出しんしゃい」。もう一つ、「佐賀におっときに、家族の愛情こもった料理ばいっぱい食べんしゃい。感謝の気持ちば伝えんしゃいね。時間があったらレシピも教えてもらいんしゃい」。大切な家族の味を、自分の大切な人にも食べさせたかったという上戸さんの想いが込められています。

講座を終え、会話劇の映画を撮りたいと、みんなの前で熱く夢を語ってくれた久野龍馬さん(高校3年生)は、「上戸先生の話が興味深くて、感動的で刺激的だった。みんなの前で、自分の夢のことを自分の言葉で話せて、夢の輪郭が定まったような感覚になりました。上戸先生に背中を押してもらって、夢への一歩を踏み出せた」と、目をキラキラ輝かせて語ってくれました。

講座後の交流会で参加者と談笑していた上戸さんは、「とても楽しかったです。今の若者はこんなにしっかりしているんだと、私の方が刺激を受けました。若い人を相手に、佐賀の同じような環境で育った人間が、どんな道を通ってきたかをずっと話したいと思っていました。自分が学生時代にこういう話を聞いていたら、もう少し生き方が楽になったかもしれないから」と優しい笑顔をみせてくれました。

夢への答えが見つからなくても大丈夫。なりたい自分になれる“その時”は、きっとみんな違うから。これからのたくさんの出会いと経験、そして学びがあなたの可能性を広げてくれるはず。今回の講座が、それぞれの夢を輝かせるきっかけになってくれたら嬉しいです。

 

講師プロフィール

上戸 恵美(かみと・えみ)

上戸 恵美(かみと・えみ)

太良町出身。大阪外語専門学校卒業後、アメリカのディズニー関連の施設に勤務。帰国して数年後、ロサンゼルスへ留学。サンタモニカカレッジで演劇を学び、2012年ワーキングホリデーでカナダ・バンクーバーへ。
その後、アメリカのアーティストビザを取得。2016年カナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。女優及び、ハリウッド映画やドラマで日本語コーチや通訳など、裏方としても活躍中。

 

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